特定非営利活動法人とうほくPPP・PFI協会

協会の活動

各研究部会中間報告（平成 12 年 5 月）

事業推進・課題研究部会

「財政が厳しいから PFI 」だけでは実現しません！
民間もリスクを背負う PFI に過剰な期待はできない
- 住民ニーズに照らしての緊急性・公共性がまず先
- 民間の発案重視によるリスク分担に対する理解が大事
  ---民間の発想による複合的な機能要素を取り上げるべき---
- PFI 導入の有効性調査が事業プロセスの第一歩！
  ---設計・建設・管理・運営等の長期にわたる財政負担の PFI と PSC (従来型)との比較など---

首長を先頭に行政が一体で取り組むことが成否のカギ
- 行政組織内に専従者１名以上をおくことこそ先決！
  PFI 手法導入の過程ですぐ専門家に育つ先進事例に学ぶべき
- 規模ではなく必要性の高い事業で先ずPFIの実践体験を
  ---組み立ては事案ごとに全部異なり、カナメは官民パートナーシップによる課題解決---

事業着手の第一歩をどう進めるかがポイント
- 事業は長期にわたることから官民の役割分担の認識が重要
  ---納税者の｢お買い得(VFM)｣がPFIのキーとなる着眼点---
- PFIを主導する公共のこれらの論議が着手への出発点
  ---官民の分担を明確化、コンサルタントの導入可能性調査はその先---

PFIは"官民協働"の公共サービスとの強い認識を！
- 公共サービスを官民でどうつくりあげるかの PFI の過程を重視
- 官のリーダーシップによる民間主導のあり方が大きなカギ
  ---既存の公共施設・公共サービスも PFI の検討対象に---
- 長期にわたる費用対効果の把握がキーワード！
  ---企業会計的認識、リスクの定量化、将来支出の現在価値、多様な資金調達手段など---

みやぎ文化・PFI 協会は PPP の理念で「宮城版PFI」を実現
- 官民パートナーシップ（PPP）の構築こそPFIのバックボーン
- 「 PFI 法」によらない PFI 手法導入も新たな選択肢のひとつ
- われわれは PFI の立ち上げのプロセスをもっとも重視しアドバイス
- 自治体からのアドバイザー委託で起業化めざし PFI の実現へ
- PFI の理想像「宮城版 PFI 」の立案がわれわれ協会の大きな目標

»メニューへ

文化・教育施設等研究部会

宮城県の社会教育施設の整備への提言

PFIの可能性を探るため、県内の５社会教育施設の調査を行った。
1. 宮城県仙台青年の家
2. 宮城県泉が岳青年の家
3. 宮城県志津川海洋青年の家
4. 宮城県蔵王少年自然の家
5. 宮城県松島野外活動センター
現地視察・調査を通じてわかったこと、感じたこと。
1. 利用料金の設定が極端に低く、運営費の大半は補助金
2. 季節の利用率の変動がきわめて大(夏休みに集中、12月･３月が低い)
3. 通年の空室率が60パーセントと非常に高い
4. 施設の老朽化が顕著で、設備も時代にマッチしていない
　↓その反面
1. 現場の職員の人々が、とても熱心にその運営に取り組んでいる
2. どの施設も都市では得難い自然環境に恵まれている
3. 利用する生徒・学生の満足度が高い(教室ではできない体験)
4. 中高年対象の主催事業の人気も高い(民間にはできないメニュー)
5. 教育施設で、利用料金と補助金の差額を単純に赤字とするのは不適切
今後の展開として
1. 老朽化しており、建替えの判断が間近に迫っている
2. そのとき、収益性の低さを理由に廃止の議論に発展する
3. 貴重な社会教育施設を財政的な理由で地域社会から失いたくない
4. PFIの手法を使って存続の方法を検討する意義が充分にあると考えられる
PFIでできること、できないこと
1. 建替えのタイミングで PFI の導入を図る
2. 単に収益性を追求すれば、社会教育施設の意義・魅力を低減させる
3. 教育の部分は、現在の利用実態の規模で公営の教育施設として残す
4. 社会教育施設に付随して、PFI で民間の宿泊施設を併設する
5. 教育(官)と PFI (民)で宿泊室を融通しあって利用率を高める
6. 教育、民間部分の施設管理は一括して PFI で運営し効率化を図る
7. 民間部分では、教育部分で準備した事業と豊かな自然環境をセールスポイントに中高年の需要の拡大を図る

【われわれの提言】
機能性、効率性が向上し、子供からお年寄りまで楽しみながら学習できる地域社会のための「 PFI 併用の社会教育施設」をここに提案いたします。

»メニューへ

廃棄物・上下水道等研究部会

廃棄物処理関連の PFI 事業への提言

全国・東北地方の事例

PFI 事業として公表されている案件は、全国で43件にのぼる。(2002年1月現在)
このうち廃棄物処理施設に関連するのは7件で、全体の16％程度。

焼却施設　　　(倉敷市、大館市)　…2件
最終処分場　　(北海道留辺蘂町)　…1件
余熱利用施設　 (福岡市、岡山市)　…2件
リサイクル施設 (埼玉県他)　　　…2件

東北地方においては、大館広域市町村組合のごみ清掃工場がPFI法に基づいて全国初の PFI を導入したということで、全国的な注目を集めている。しかし、民間事業者選定後に用地について住民同意が得られず、現在事業がストップし、せっかくの注目事業に水をさす形となっている。
他には仙台市(松森・余熱利用施設)や宮城県が廃棄物・下水道処理施設関連に、積極的に PFI 手法を推進しようと計画中であるが、未だ可能性調査の段階である。他県においても検討段階のところが多く具体的方針はまだ見えてきていない。

なぜ PFI 推進の気運が盛り上がらないのか

地方自治体が廃棄物処理施設に PFI を導入検討する際、大きな懸念事項は次の点にあると思われる。

住民の反対運動による立地難
事業収支(キャッシュフロー)の不確実性

これらの問題の内容と本質について言及してみる。
｢ごみの処理はできる限り排出源に近いところで行う｣(自区内処理原則)という考え方は、廃棄物処理法において一般廃棄物の処理が市町村の責務となっていることと相まって、ほぼ社会的合意となっている。
反面、ダイオキシン類の削減や廃棄物発電量の増加を目的とした｢広域化計画｣は根強いNIMBY(ニンビイ：総論賛成各論反対)の中で困難に直面している。
また、民間事業者からみた場合の事業収支については、ごみ排出規制や総量の見通しが政策に大きく左右される部分があり、確実性に欠ける。

民間は儲からないPFI事業には手を出さないのは当然

事業推進が喫緊の課題である自治体と厳しい経営を強いられている企業との間には、 PFI 事業に対する考え方の違いが存在すると思われる。全国的にPFI事業は第１段階を終え、今後本格的に進むことになると、そのギャップを埋めることが最も重要となる。

PFI 活用の推進における課題は廃棄物関連施設を検討する際にも同様。

PFI に対する認識不足と誤解
専門知識・人材の不足
厳しい財政状況
手続きの煩雑さ
法制度上の課題

上下水道関連施設のPFI事業への提言

【 PFI 事業としての目的】

環境低負荷社会システムの構築
廃棄物の循環型社会システムの構築
総合的な下水道の再構築

【 PFI 導入部分での提案】

汚泥のコンポスト化
汚泥をコンポスト化して再資源化で有効活用
常用発電設備
汚泥のメタンガスを有効利用した発電設備
汚泥焼却灰・浄水場発生土や工事発生土の有効利用
ブロック・タイル・コンクリート製品などへの利用
下水道施設の多目的利用
光ファイバー通信網の推進と活用
下水熱の利用

【われわれの廃棄物・下水道処理への提案】
われわれは廃棄物・下水道処理から出る副産物を資源と考え、地球環境保全の視点からもリサイクルによる有効利用を提案する。
廃棄物・下水道処理はPFIに向いている事業で、処理並びに関連施設建設については多くの課題があるが、官民の役割分担を明確にし、解決できると考えられる。
その中で冒頭の立地難については、民間が解決に向け役割分担できる部分は少ないことが先進事例からも理解できる。
行政側の強い指導力と地道なアカウンタビリティが、住民合意に向けての最善の方法であり、民間事業者の参加意欲もここが出発点になる。
　次に、PFIによる事業実施での要点をまとめると、次のようになる。

一般廃棄物と産業廃棄物の混合処理
一廃・産廃を混合処理することにより施設の運営が効率の面で有利である
産廃の不法投棄の防止策にもなる
広域化及び大規模化による建築費、運営費の削減
PFI導入により民間の工夫の余地が高い

»メニューへ

PFI新技術・工法研究部会

100年持続可能な構造での提言

社会の動向及び課題としては
- 地球環境
- 省エネ
- ライフサイクルコスト
- フローからストック
- サスナビリティー
- 集住共生　等があげられる
これらの課題を視野に入れた PFI の要点としての事業性と運営と連関した建築的構築が必要となる。それらの構築課題を列挙すると
- 事業性を支える根拠としてのコストの明確化と建築的部位の明確化
- 運営を支えるプラン及びシステムと対応した建築
- 事業性の根拠となる建築の部位としての耐用年限及び可変性の可能性
- フレキシビリティ・サスナビリティーと対応した建築
- 用途変化・機能変化への可能性としての建築
- ストックとしての建築のシステム・プログラム・構造及び内装等
- 廃棄処理資材の活用と耐用年限を考慮した建築的素材及び技術等の明確化
- 循環型資材の改修及び改変への技術の開発
PFIの課題と、それらの課題を解決するための建築における新技術や工法・構造は、構造変化をともなった現在の社会から求められている。又、その課題を支える技術者の養成や育成・継承は場所性を視野に入れた地域文化を支える人々であり技術者達である。
21世紀の建築的課題は100年持続可能な構造の創出であり、耐用年限を想定した可変性としての内装・設備・電気等のシステム技術が求められる。以下それぞれで提案する。
- 構造
- 設備・電気
- 内装等
具体的な提案としては、PFI 事業で SI =スケルトン・インフィル及び木造における軸組み工法、大断面木造新構法など100年持続可能な構造を提案する。
さらにそこでのねらいを列挙すると
- スケルトン＝構造と可変可能な部位としてインフィルの分離及びプランニング。
- コンクリート神話及び産業廃棄物等の課題と木造等における循環型思想の建築の試行。
- 木造等の軽量化の長所を生かした特殊建築物への参入。･･･コンクリート建築に近い空間の可能性及び基礎構造の軽減等。
- 建築職能の明確化と統廃合化及びスーパーバイザー（棟梁的リーダー）の育成。

PFI 建築の「共同施工方式」の提言

　PFI 事業においては、当然のことながらコストダウンが要求され、それに対応する一つの手段として、多能工の一元化と棟梁的リーダーの創出による躯体３業種（鳶・土工、型枠工、鉄筋工）による「共同施工方式」を提案する。
　「共同施工方式」とは鳶・土工、型枠工、鉄筋工の３業種が、同一作業所内にて他職を応援しながら躯体工事を施工することである。作業手順をみればその多くの部分が「物の運搬作業」である。作業時間の実に80％を占める。物を運搬することは、物を置く位置さえ明確であれば、何職が運搬しようと問題はない。この共同施工方式を採用することによって、作業ロスを最小限に抑えることが可能であり、これにより生産効率が上がり、コストダウンが図られる。
　長年付き合いのある会社同士でないと難しい面が予想される。しかしながら、建築業界での長い付き合いの中で、自ずと協力し合える会社を見つけることは可能と思われるので、何とか実現する方向で前向きに検討していきたい。
　また、「 CM 方式」の導入も今後 PFI 方式の普及により検討課題として特筆される。

ライフサイクルコスト重視の設備での提言

設備での PFI 導入での課題

地球規模の環境重視！
建設業は建物の設計に始まり、資材製造・運搬・建設・運用・改修・解体・廃棄までの間に、資源とエネルギーを消費している。データでは全産業から排出される CO2 の1/3は建設関連からといわれている。その結果、地球温暖化・オゾン層破壊・有害廃棄物拡散等地球環境問題に発展している。したがって、建設の企画設計の段階から、特に環境問題を考慮する必要がある。
ライフサイクルコスト重視へ！
今までの建築物は、その建物のデザインと、機能性を重要視して計画されてきた。そのため、建物の心臓部にあたる空調・衛生機械室やパイプシャフト等は、最低必要スペースしかとられず、その結果、設備機器や配管更新時に多大なる建築修繕工事が発生した。また、定期的な予防保全を軽視したため、機器の短命化を招き、いずれも更新コストを引き上げる要因となっている。
複合用途に対応できるシステムを！
PFI事業を推進していく上で、建物に収益を生み出す部分がないと、成立が難しいと思われる。そのことを考えると建物は複合建築物となり、それにも対応できる設備システムでなければならない。

設備における PFI 導入での提案

PFI は複合的用途の組み合わせによる建物または合築となる可能性が高く、設備面ではフレキシブルに対応できることが要求され、イニシャルコストが高くとも20～30年にわたるライフサイクルコスト重視の新技術・工法の採用を低減する。そのポイントは次の２点となる。

環境負荷削減対策を考慮したキーワード
ライフサイクルを考慮したシステムの考え方

「環境及びライフサイクルコストを考慮した設備システム」の提案
実際の建築物は、立地条件・規模・用途・合築の組み合わせ・施主の意向などにより多種多様であるため、建築設備もまた組み合わせは多岐にわたる。従って、それぞれの条件に合うシステムをその都度組み合わせざるを得ないので、プロジェクトごとの提案が必要となる。

»メニューへ

協会の活動トップへ　　　　　トップへ戻る